ハザードマップで家族を守る!忙しい共働き家庭のための「避難判断基準」と「わが家の準備」リスト
「仕事も育児も忙しくて、防災についてゆっくり考える時間がない…」「ハザードマップは見たけれど、具体的に何をどうすればいいのか分からない」
共働きで幼いお子さんをお持ちの多くのご家庭が、このような悩みをお抱えではないでしょうか。万が一の災害時、大切な家族、特に小さなお子さんの命を守るためには、効率的で実効性のある避難計画が不可欠です。
この記事では、ハザードマップを最大限に活用し、多忙な日々の中でも無理なく実践できる「わが家だけの避難判断基準」と「家族に合わせた準備リスト」の作成方法を具体的にご紹介します。
1. ハザードマップで「わが家のリスク」を効率的に把握する第一歩
ハザードマップは、お住まいの地域にどのような災害リスクがあるかを示す地図です。自治体のウェブサイトで手軽に確認できます。多忙な中でも、以下のポイントを押さえてリスクを効率的に把握しましょう。
- 自宅周辺のリスク種類と範囲: 洪水、土砂災害、津波、高潮など、どの種類の災害リスクが高いかを確認します。自宅が警戒区域に入っているか、どの程度の浸水や被害が想定されているかを把握してください。
- 「警戒レベル」と連動した情報: ハザードマップには、国の定める「警戒レベル」と連動した情報が示されていることが多いです。例えば、洪水ハザードマップでは「警戒レベル3(高齢者等避難)」や「警戒レベル4(避難指示)」が発令された際に、どの範囲がどの程度の浸水深になるのかが色分けされて示されています。このレベルと自宅のリスクを頭に入れておきましょう。
- 家族の行動範囲のリスクも確認: 自宅だけでなく、お子さんが通う保育園・幼稚園・学校、ご自身の職場までの通勤路など、家族が普段過ごす範囲のリスクも確認することが重要です。
2. 【ステップ1】「いつ、どうする?」わが家だけの避難判断基準を定める
ハザードマップでリスクを把握したら、次は具体的な行動に移るための「避難判断基準」を家族で定めます。多忙な中で冷静な判断を下すためにも、事前に決めておくことが非常に重要です。
- 警戒レベルと連動した行動計画:
- 警戒レベル3(高齢者等避難): 小さなお子さんや高齢者、体の不自由な方がいる家庭は、この段階で避難を開始することを検討します。特に夜間や悪天候が予想される場合は、早めの行動が命を守ることに繋がります。
- 警戒レベル4(避難指示): このレベルが発令されたら、ただちに全員が避難を開始する、と決めましょう。迷わず行動できるよう、事前に家族で意思統一しておくことが大切です。
- 天気予報・河川水位情報との連携:
- 「〇〇時間で〇〇mm以上の雨が降ったら」「河川の水位が〇〇mを超えたら」など、具体的な数値を避難開始のトリガーとして設定します。これらの情報は気象庁や国土交通省のウェブサイトでリアルタイムに確認できます。
- 連絡体制の確認と共有:
- 家族がバラバラの場所にいる場合(職場、保育園など)、どのように連絡を取り合い、どこで合流するかを明確にします。携帯電話が使えない状況も想定し、災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板、または地域の公衆電話の場所なども確認しておきましょう。
- 「誰が、いつ、どこへ避難するのか」「誰が子供を迎えに行くのか」など、具体的な役割分担を決めておくことで、混乱を最小限に抑えられます。
3. 【ステップ2】ハザードマップと家族構成に合わせた「わが家の準備」リストを作成する
一般的な防災グッズリストは数多くありますが、ハザードマップで把握したリスクと、ご家庭の具体的な状況(幼いお子さんの年齢、アレルギー、持病など)に合わせてカスタマイズすることが「わが家の準備」の鍵です。
3-1. リスクに応じた追加備蓄品
ハザードマップで特定した主要な災害リスクに基づいて、備蓄品に何を追加すべきかを検討します。
- 洪水・内水氾濫リスクが高い場合:
- 浸水防止用の土のうや水のう(簡易なものでも可)。
- 長靴、ゴム手袋、汚泥除去用のスコップなど。
- 電気・ガスが停止した際のカセットコンロや乾電池式ラジオ。
- 土砂災害リスクが高い場合:
- 避難時のヘルメットや防災頭巾(お子さん用も)。
- 笛やホイッスル(救助要請用)。
- 避難所生活が長期化する場合:
- 簡易トイレ、生理用品、おむつ、粉ミルク、離乳食など、避難生活が長期化しても困らないような、日頃使い慣れているものを少し多めにストックしておく「ローリングストック法」を実践しましょう。
3-2. お子さん連れの避難で特に意識したい準備
小さなお子さんとの避難は、大人だけの場合と比べて多くの配慮が必要です。
- お子さんの年齢に合わせた持ち出し品:
- おむつ、おしり拭き、粉ミルク、哺乳瓶、離乳食、おやつ、水筒、常備薬、母子健康手帳。
- 抱っこ紐(ベビーカーが使えない状況に備え)、着替え。
- お子さんを安心させるためのおもちゃや絵本、ぬいぐるみなど(最小限に)。
- アレルギー・持病への対応:
- アレルギー対応食品、処方薬、お薬手帳、医療情報カード(アレルギーの種類や症状、緊急連絡先などを記載)。
- これらは必ず優先して持ち出し袋に入れ、常に確認できるようにしておきましょう。
- 手分けして持てるように分散:
- 全ての荷物を一人で持つのは困難です。夫婦で役割分担し、避難用リュックを複数用意し、分散して備蓄することをおすすめします。お子さんのリュックには、少しだけ軽いおもちゃや非常食を入れて「自分も準備に参加している」という意識を持たせるのも良いでしょう。
3-3. 忙しい毎日でもできる!「わが家の準備」習慣化のヒント
- 年に一度は防災用品チェック日を設定: 誕生日や年末年始など、家族にとって分かりやすい日を「わが家の防災チェック日」と決め、備蓄品の消費期限や内容を定期的に見直しましょう。
- 日常の買い物ついでに防災品を意識: スーパーなどで買い物の際、普段使うトイレットペーパーや缶詰、お米などを少し多めに購入し、備蓄に回す「ローリングストック」を習慣化します。
- 「もしも」の時の話し合いを時々: 夕食時や休日の団らん中に、「もし大きな地震が来たらどうする?」など、具体的な状況を想定して家族で話し合う時間を作りましょう。お子さんにも分かりやすい言葉で説明し、一緒に考えることで、防災意識を高めることができます。
まとめ
多忙な共働き家庭にとって、防災準備は後回しになりがちかもしれません。しかし、ハザードマップを効率的に読み解き、「わが家だけの避難判断基準」と「わが家の準備リスト」を具体的に作成することは、いざという時の冷静な行動と、何よりも大切な家族の命を守ることに直結します。
この記事でご紹介したステップを参考に、できることから少しずつ、ご家庭に合った防災計画を進めてみてください。無理なく、着実に準備を進めることが、家族の安心に繋がる第一歩です。