多忙なパパママ必見!ハザードマップで家族の『逃げる場所・ルート』を見つける具体ステップ
はじめに:多忙な毎日でも、家族の安全を考えたいあなたへ
仕事に育児に、毎日時間に追われている中で、「もしも」の防災について考える時間はなかなか取れない、と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。特に小さなお子さんがいるご家庭では、「いざという時、この子たちと一緒にどうやって安全に避難すればいいのだろう…」と不安に思うこともあるかと思います。
防災対策の第一歩として大切なのが、お住まいの地域にどんな災害リスクがあるのかを知ることです。そのために役立つのが「ハザードマップ」ですが、「難しそう」「見るのが面倒」と感じてしまう方もいるかもしれません。
この記事では、多忙なパパママでもスキマ時間で確認できる、ハザードマップを使った具体的な避難計画の立て方、特に家族で「どこへ」「どうやって」逃げるかを見つけるためのステップを分かりやすくご紹介します。難解な専門用語は避け、すぐに実践できる内容を目指します。この記事を読んで、ご家族の安全な避難について考えるきっかけにしていただければ幸いです。
ハザードマップ、どこから見る?何を見る?
まず、お住まいの地域のハザードマップを入手または確認しましょう。多くの自治体は、ウェブサイトでデジタル版のハザードマップを公開しています。「〇〇市(お住まいの自治体名)ハザードマップ」と検索すると見つかることがほとんどです。紙のマップが必要な場合は、役所の防災課などで入手できる場合があります。
ハザードマップには、洪水、津波、土砂災害、高潮など、様々な種類の災害リスクが示されています。多忙な中で全てを細かく見るのは大変ですので、まずは以下の2点に絞って確認することをおすすめします。
- お住まいの場所(自宅、よく行く場所)の災害リスク: 洪水でどれくらい浸水しそうか(浸水想定区域と深さ)、土砂災害の危険がある場所か(土砂災害警戒区域など)を確認します。
- 指定されている避難場所: 災害時に避難できる場所(学校や公民館など)がどこにあるかを確認します。
ステップ1:自宅の「リスク」を確認する
まずは、ハザードマップでお住まいの住所や周辺地域を拡大して見てみましょう。
- 洪水浸水想定区域: 色分けされていることが多いです。自宅が何色の区域に入っているか、その色の凡例で想定される浸水の深さを確認します。例えば、「この色は1m〜3m未満の浸水が想定されている」といった情報が得られます。
- 土砂災害警戒区域・特別警戒区域: 急な斜面やがけ地の近くにお住まいの場合は、これらの区域に入っているか確認します。土砂災害が発生しやすい場所が示されています。
- その他のリスク: 地震による液状化の可能性、高潮、津波などのマップがあれば、自宅や職場、よく利用する場所がこれらのリスクエリアに入っていないか確認しましょう。
自宅がどのようなリスクにさらされているかを知ることは、いつ、どのように避難を開始するかを判断するための重要な情報となります。
ステップ2:安全な「避難場所」を見つける
次に、ハザードマップ上に示されている避難場所を確認しましょう。避難場所にはいくつか種類があります。
- 指定緊急避難場所: 災害が発生または発生するおそれがある場合に、身の安全を確保するために一時的に避難する場所です。公園、広場、頑丈な建物などがあります。まずはここを確認しましょう。
- 指定避難所: 災害により自宅に戻れなくなった住民が、一定期間滞在できる施設です。学校の体育館や公民館などが指定されていることが多いです。
ハザードマップには、これらの避難場所の記号や名称が記載されています。自宅から行ける範囲に、どのような指定緊急避難場所があるか、複数の場所を確認しておくと良いでしょう。特に小さなお子さんがいる場合、乳幼児や高齢者、障がい者など、避難に支援が必要な方を受け入れる「福祉避難所」が指定されている場合もありますので、合わせて確認しておくと安心です。ただし、福祉避難所は開設に時間がかかる場合や、受け入れ対象者が限定される場合がある点に留意が必要です。
ステップ3:家族にとっての「避難ルート」を考える
避難場所を見つけたら、実際に自宅からそこまでの「避難ルート」を複数考えてみましょう。これは、ハザードマップと普段から利用している地図(スマートフォンの地図アプリなど)を組み合わせて考えると効果的です。
- 複数のルートを想定: いつも通っている道が、災害時は通行止めになったり、危険になったりする可能性があります。自宅から避難場所までの道を、徒歩でたどれるルートを2〜3パターン考えてみましょう。
- ハザードマップで危険箇所を確認: 避難ルート上に、ハザードマップで示されている浸水想定区域の深い場所、土砂災害の危険箇所、崖や川の近くなど、危険になりそうな場所がないか確認します。できるだけこれらの場所を避けるルートを選びましょう。
- 子供連れでの避難をシミュレーション: 小さなお子さんと一緒に歩くことを想定すると、避難にかかる時間は大幅に長くなる可能性があります。ベビーカーや抱っこ紐の使用、子供の歩くスピード、途中の休憩なども考慮してルートと時間をイメージします。夜間や悪天候での避難も想定しましょう。
- 安全な集合場所の検討: 家族がバラバラの場所にいるときに災害が発生した場合に備え、自宅から比較的近く、安全な場所で集合する場所を決めておくことも有効です。
考えるだけでなく、可能であれば家族みんなで実際に避難場所まで歩いてみる「避難訓練」をしてみるのも良いでしょう。子供と一緒に歩くことで、道中の危険箇所や、子供にとって負担になる場所などに気づくことができます。
ステップ4:家族で「逃げる」を話し合う
ハザードマップでリスクや避難場所、ルートを確認したら、その内容を家族で共有し、話し合うことが最も重要です。多忙な中でじっくり時間を取るのは難しいかもしれませんが、夕食時や寝る前など、短い時間でも良いので定期的に話題にしてみましょう。
- いつ、誰と、どこへ避難するか: どのような状況になったら避難を開始するのか(例: 自治体から避難情報が出たら、近くの川の水位が上がってきたら)、家族が一緒にいる場合、離れている場合それぞれどうするか、どの避難場所を目指すかなどを話し合います。
- 家族の連絡方法と集合場所: 携帯電話が使えないことも想定し、災害用伝言ダイヤルやSNSを使った連絡方法、また、バラバラの場所にいた場合の集合場所などを決めておきます。
- 子供にも分かりやすく伝える: 子供には、難しく説明するのではなく、「ここがお家が危ない時のお約束の場所だよ」「この道を通って行こうね」など、絵や地図を使って具体的に、そして怖がらせすぎないように伝えます。一緒にハザードマップや避難場所の写真をを見たり、塗り絵をしたりするのも良いかもしれません。
家族で事前に話し合っておくことで、いざという時に慌てず、冷静に行動できるようになります。
ステップ5:今すぐできる「準備」を始める
ハザードマップの確認と家族での話し合いを終えたら、すぐに行動に移せる準備を始めましょう。多忙な中でも、少しずつ、手軽にできることから始めるのが継続のコツです。
- 避難持ち出しリストの作成: 避難時にすぐに持ち出す必要最低限のものをリストアップします。食料(3日分目安)、飲料水、常備薬、貴重品、着替え、懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリーなどが基本です。
- 子供用品の準備: お子さんの年齢に合わせて、おむつ、ミルク、離乳食、着替え、お気に入りのおもちゃや絵本などもリストに加え、すぐに持ち出せるようにリュックなどに詰めておきます。
- 分散備蓄の検討: 全てを一つの場所に備蓄するのではなく、すぐに持ち出せる一次持ち出し品と、後から取りに戻れるまたは自宅で数日過ごすための二次持ち出し品に分けて備蓄する「分散備蓄」も効果的です。例えば、玄関に一次持ち出しリュック、食料や水をリビングの収納、毛布などを寝室、といった具合です。
- ハザードマップの共有: 確認したハザードマップや避難場所、避難ルートの情報を、家族が見やすい場所に保管したり、スマートフォンの待ち受け画面に設定したりして、いつでも確認できるようにしておきます。
全てを一度に揃えるのは大変かもしれません。まずは飲料水や非常食、懐中電灯など、最低限必要なものから準備を始め、リストを見ながら少しずつ買い足していくと良いでしょう。
まとめ:『知る』ことから始まる、家族の安全
ハザードマップは、決して難しいものではありません。お住まいの地域の「リスク」を知り、「どこに逃げれば安全か」を確認するための、家族の安全を守るための大切なツールです。
今回ご紹介したステップは、多忙な日常の中でも少しずつ進められるものです。ハザードマップを見て自宅のリスクを知る。安全な避難場所を確認する。家族にとって最適な避難ルートを考える。そして、それを家族で共有し、必要な準備を始める。
これらのステップを実践することで、「もしも」への備えがより具体的になり、家族みんなが安心して過ごせることに繋がります。一度確認したら終わりではなく、お子さんの成長や家族構成の変化、お住まいの地域の状況に合わせて、定期的に見直し、更新していくことも大切です。
この記事が、ご家族で防災について考え、話し合い、具体的な一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。